今回紹介させていただくのはLogicoolさんから発売されている「MX ERGO S」です。
旧モデル「MX ERGO」もありますが、本記事では新モデルのほうについて解説していきたいと思います。
トラックボール界隈では同社の「M575」に次いで人気な本製品ですが、巷の評価では、「非常に良い製品だがあと一歩…」などの評価が散見されます。
そんな本製品は実際どうなのか、ほかのレビューよりかなり踏み込んで調査しましたのでぜひ最後までご覧ください!
製品の紹介
概要
製品の概要は以下の通りです。
項目 | 詳細 |
---|---|
定価 | 公式サイト (保証期間2年モデル): 19,580円(税込み) Amazon(保証期間2年モデル) : 19580円(税込み) Amazon(保証期間1年モデル) : 17800円(税込み) |
販売元 | Logicool(Logitech) |
接続 | 無線 – Bluetooth – LogiBoltによる2.4GHz接続 |
ボタン | 7ボタン – 左右クリック – 戻るボタン – 進むボタン – 中央ボタン – 左右チルト – ファンクションボタン(親指) |
端子 | type-c端子(充電のみ) |
バッテリー持続 | フル充電で最長120日間 |
バッテリー充電 | 1分の充電で24時間分 |
重量 | 259g |
Logicoolさんから発売されているトラックボールマウスシリーズのフラグシップモデルで、トラックボールの中でも高額な製品でその分機能も全部盛りになっています。
値段は表のとおりですが、2025/2/28~2025/3/4のamazonスマイルセールでは15130円で販売されました。
ボタンは7ボタンでLogicool製品専用アプリ「Logi Options+」にて左右クリック以外のボタンの割り当てを変更することができます。
見た目

見た目はとてもシンプルで質感も高級感があり、かっこいいですね。
ボールは銀色で品質はまあまあです。動きはぬるぬるというよりも程よい抵抗感があるので正確な動作がやりやすそうです。
ボタンは基本の左右クリック、左右チルト付きホイール、戻る、進むのほかに、ボールの後ろのファンクションボタンがあり、ホイールの下部にはマルチデバイス接続用のデバイス変更ボタンがあります。

本体の下部には角度をつけるための台座がマグネットでくっついています。

裏面はこんな感じで、滑り止めが全体に効いており、かなり滑りづらくなっています。
また、電源ボタンも裏面に搭載しています。
旧モデルとの比較
旧モデルとの相違点は以下のとおりです。
項目 | MX ERGO | MX ERGO S |
---|---|---|
充電端子 | micro USB Type-B | USB Type-C |
接続 | 無線 – Bluetooth – Unifyingによる2.4GHz接続 | 無線 – 無線 – LogiBoltによる2.4GHz |
左右クリック | 音あり | 静音 |
定価 | 17500円(1年保証) | 17800円(1年保証) |
まず、充電端子がmicroUSBからType-Cになりました。しかしながらそこまで頻繁に充電するものでもないので恩恵は薄いかなと思います。
接続面においてはUnifyingレシーバーではなく、LogiBoltレシーバーを使用できるようになりました。他のロジクール製品と併用する場合は便利ではないのでしょうか。
また、左右クリック音が静音となりました。しかし、その他のボタンに関しては静音ではなく、音が鳴ってしまうのが残念です。
定価は微々たる違いですが、割引価格を考えると、大体2,3000円の差額となってきます。
どちらを買うかは好みなのでどちらでもいいと思います。
本記事においては最新版であるMX ERGO Sのほうをピックアップして解説したいと思います。
評価
良い点
ソフトウェアが優秀
Logicool製マウスすべてに言えることですが、純正ソフトウェアの「Logi Options+」が非常に優秀です。

見た目は最新っぽいいい感じのUIを備えていて、様々な操作がパッと見でわかりやすいようなデザインになっています。
機能としてはボタンの変更はもちろん、スクロールの調整や「Logi Flow」という、異なるデバイス間でのデータのコピペをサポートする機能の設定などが可能です。
エレコム製やその他ソフトウェアはデバイスごとの感度調整ができなかったり、ジェスチャーがボタンごとに設定できなかったりで純正でないソフトウェアで調整することもしばしばあるのですが、こちらのソフトで全て済んでしまうのは非常にありがたいです。
持った感じがよい
MX ERGOは台座に固定されていて、20度ほどの傾斜がついています。

これがかなり具合よく、持っていて全く違和感や負担を感じません。
形状も筆者が店頭にて他の有名どころのトラックボールと比較した際では、一番持ちやすいと感じました。
バッテリー関連がよい
充電式のものは電池式に比べ、バッテリーの持ちが悪く、頻繁に充電が必要なのが私がほかのマウスを使っている中で気になっていた点なのですが、こちらのマウスに関してはバッテリー関連が非常に優秀になっています。
まずバッテリーの持ちが充電式にしてはかなり優秀です。公式では最長で120日間のバッテリーの持ちとされていますが、本当にそれくらいあると思います。
今のところ最後の充電から1週間ほど経過したのですが、バッテリー残量が85パーセントほどありました。1日10時間ほどの使用でしたので、使用時間が少ない人であれば数か月は持つかと思います。
あとは充電も早いです。公式情報では1分の充電で24時間分の充電が可能とのことです。
ボタン数が多い
ボタン数は合計で8つあり、左右クリックを除く6つのボタンをLogi Options+で編集することができます。

親指型トラックボールでしっかりとしたボタン数を備えている製品は少ないのでとてもうれしいポイントです。
充電端子がType-C
新型のMX ERGO S限定で充電端子がType-Cになっています。
トラックボール製品は今では古いものが多く、充電端子がmicro USBであるものが多いので地味にうれしいポイントです。
プレシジョン機能がよい
ロジクール製トラックボールの中でもMX ERGO限定でプレシジョン機能というのが使えます。

こんな感じでボールの後ろ側にあるボタンのみに割り当て可能な機能なのですが、
悪い点
ボールが非常に取り出しづらい
MX ERGOは金属製の台座を備えていてその上にマウスが乗っかている形になります。

そのためボールを取り出すための穴にアクセスするためには台座を毎回取り外す必要があります。

さらにボールを取り出すための穴が他製品に比べかなり小さく、指で押し出すことはおろか、一般的な太さのボールペンすら入りません。
トラックボールは少しでもゴミがたまるとかなり使い心地が変わるために頻繁に掃除することになるので、これがかなりストレスになります。
左右チルトの仕様が特殊
細かい指摘ですが、Logi Options+で割り当てることのできる左右チルトの仕様が特殊になっています。
仕様としては「左右チルトが有効な場合においてその時に適切な動作をする」というような動きをします。
例えば、アクティブウィンドウがない場合は押してもなにも反応しません。chromeをアクティブにした状態で押すと、数回のチルトが入力されます。
この仕様が一部の場合においてかなり厄介でして、Logi Options+以外のソフトウェアを使用してボタンの動作を変更した際に、ソフトごとに動作が異なってしまうのです。
オンボードメモリがない
設定をデバイスに保存できません。
使用するデバイスごとにLogi Options+が入っている必要があり、設定も必要です。
ほとんどの人にとっては問題ないかもしれませんが、会社用などのパソコンで特殊なソフトを導入できない場合などは困るかもしれません。
値段が高い
値段がかなり高いです。それもほかの人気マウスの倍ほど。
例えば、同社の廉価モデルである「M575SPd」は定価が大体7700円で、エレコムの人気マウスである「DEFT PRO」は定価が大体9000円程度となっています。
「MX ERGO s」は定価18000円ほどでセール時でも15000円程度と、トラックボールにしてはかなり値段が張ります。
ソフトウェアの一部機能が不便
ボタンごとに割り当てられる機能が制限されている点です。
例えば、下の画像で、感度の変更をボール後ろのボタンに割り当てることはできるのですが、ほかのボタンには割り当てることが出来ないという感じです。

そこまでボタン配置にこだわらないという方はどうでもいいかもしれませんが、効率化を図るうえで適切な割り当ては必須なので筆者としては気になる点です。
ただ、それ以外に特に欠点がないので優秀なソフトウェアであることに変わりありません。
その他人気製品との比較
DEFT PRO | ELECOM
エレコム製人差し指トラックボールのDEFT PROとの比較です。
大きな違いは以下の通りです。
項目 | MX ERGO S | DEFT PRO |
---|---|---|
大体の値段(セール時) | 15000円 | 8000円 |
操作する指 | 親指 | 人差し指 |
電源 | 充電式 | 電池式 |
静音性 | 左右クリックが静音 | 普通 |
ソフトウェア | 優秀 | 普通 |
保証 | 1年 | 3年 |
エレコムさんのDEFT PROは人差し指で操作するタイプです。親指と比較して中指も合わせて使うことで指が疲れづらいといったメリットがあります。しかしながら人差し指は親指と比較して横方向への可動域が小さいので横移動がしづらいというデメリットもあります。
電源はMX ERGOは充電式で、DEFT PROは電池式です。この2つは好みがわかれるところですが、MX ERGOはバッテリーが非常に優秀で、バッテリー持ちも電池式と遜色ありませんし、充電も早いので個人的にはMX ERGOのほうが優れていると思います。
静音性も多少違います。MX ERGO Sは使用頻度の多い左右クリックが静音です。また、エレコム製マウスはクリック音が少し大きいので、気になる方は注意しておくとよいですね。
ソフトウェアはMX ERGOの圧勝ですね。UIも見やすいですし、アプリごとの設定もできます。エレコムのソフトウェアはジェスチャーがボタンごとに設定できないのとカーソル感度が変更できないのが筆者としては致命的でした。
保証に関してはDEFT PROの勝ちです。この値段で3年も保証があるのはかなりいいですね。
個人的にはMX ERGOをお勧めしたいですが、予算が足りないという方や、人差し指がいいという方はDEFT PROがおすすめですかね。
M575SPd | Logicool
LogicoolトラックボールのM575の新モデル「M575SPd」との比較です。
大きな違いは以下のとおりです。
項目 | MX ERGO S | M575SPd |
---|---|---|
大体の値段(セール時) | 15000円 | 6500 |
ボタン数 | 8 | 5 |
接続数 | 2 | 1 |
静音性 | 左右クリックが静音 | すべて静音 |
カーソルの正確性 | プレシジョン機能搭載 | 普通 |
巷ではボールの滑りやすさがM575のほうがいいなどとは言われていますが、筆者としては大した差に感じなかったのでその他の点で評価するのが無難かなと思います。
ボタン数はMX ERGOが上ですね。ロジクール製品はボタンごとにジェスチャーを割り当てられるためボタンが1つ多いだけで5つ追加で割り当てれるようになります。
接続数はMX ERGOが上です。人によっては必須ともいえる要素なので大きな違いですね。旧M575は対応しているのでもしかしたらアップデートで可能になるかもしれません。
静音性はM575が上ですね。左右クリックはどちらも静音ですが、M575はさゆうくり
カーソルの正確性はMX ERGO Sが上です。MX ERGOはLogi Options+にてプレシジョン機能というのを割り当てることが可能で、一時的にカーソル速度を下げることが可能です。純正でないソフトウェアを使えばM575SPdでも可能ですが、純正で対応しているのはいいですね。
MX ERGOはM575の上位機種なので基本的にはこちらの方が優れているといえますね。
EX-G PRO | ELECOM
エレコム製の親指トラックボールマウスのEX-G PROとの比較です。
大きな違いは以下の通りです。
項目 | MX ERGO S | EX-G PRO |
---|---|---|
大体の値段(セール時) | 15000円 | 7500円 |
ボタン数 | 8 | 10 |
電源 | 充電式 | 電池式 |
静音性 | 左右クリックが静音 | 普通 |
ソフトウェア | 優秀 | 普通 |
手の角度 | ちょうどいい | 普通 |
カーソルの正確性 | プレシジョン機能搭載 | 普通 |
保証 | 1年 | 3年 |
エレコムさんの親指トラックボールのフラグシップモデルですね。
ボタン数はEX-G PROが上です。しかし、MX EROGと異なり、ボタンごとのジェスチャー設定ができないので実際に割り当てれる機能数はMX ERGOのほうが多いです。そこを考慮するとMX ERGOのほうが優れているといえます。
バッテリーに関しては、MX ERGOは充電式、EX-G PROは電池式です。ここは好みがわかれるところですね。
静音性はMX ERGOが上ですね。左右クリックが静音で、その他のボタンMX ERGOのほうが個人的には気になりづらい音だと思います。
ソフトウェアはMX ERGOの圧勝です。Windowsの設定を変えずとも感度の設定ができますし、ボタンごとのジェスチャー設定も可能ですし、アプリケーションごとの設定の変更もやりやすいです。
手の角度はMX ERGOのほうが上ですね。EX-G PROは水平すぎて持ちづらい印象でした。
カーソルの正確性はMX ERGOが上です。やはりプレシジョン機能がかなり使いやすい印象です。
保証に関しては、EX-G PROが上ですね。エレコム製の高額マウスはどれも保証が長いのがうれしいです。
値段を許容できるならMX ERGOが無難ですかね。
総評
個人的な総評としては
「完ぺきではないけど現状これしか選択肢がない」
って感じですかね。
トラックボール界隈はゲーミング製品やスマホなどのように洗練されていないのでまだまだ成長の余地があるのかと思います。
ただ、この記事で紹介したデメリットに関してはひと手間工夫するだけでかなり改善できるのでその方法もいずれ記事にしたいと考えています。
あとがき
ここまでLogicoolさんのMX ERGO Sについてレビューさせていただきました!
内容の改善に努めていますので何か間違った点やより良い方法があるといった意見があればコメント欄に書いてくださると幸いです。
記事を最後までご覧いただきありがとうございました。
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